Liver, Bile, Pancreas 肝胆膵
胆管結石、胆管炎、胆嚢炎
胆石は総胆管や胆嚢など胆汁の通り道に生じる石で、石により胆汁の流れが鬱滞することで胆嚢炎、胆管炎を生じます。そのため、内視鏡を用いて石を取り除いたり (採石)、流れを改善させるチューブを挿入します (ドレナージ)。また、採石のために総胆管の出口である十二指腸乳頭部を切開する内視鏡的乳頭括約筋切開術(endoscopic sphincterotomy;EST)を行うこともあります。総胆管結石治療後の残存有無にはIntraductal Ultrasonography (IDUS)を用いて入念に確認を行っています。急性化膿性閉塞性胆管炎についての緊急ドレナージの受け入れも実施しております。また、小腸内視鏡などを用いた術後胃(R-Y、B-II、PD後、肝移植後、Child再建、今永再建…)における採石を年間約40例に行っています。特殊な症例では胆道鏡下電気水圧衝撃波胆管結石破砕術 (electrohydraulic lithotripsy:EHL)、超音波内視鏡下胆道ドレナージも実施しています。難しい処置ではありますが、各種処置具を用いて高い成功率を得ています。
図1 胆道鏡下電気水圧衝撃波胆管結石破砕術 (EHL)
図2 超音波内視鏡下胆管胃吻合術 (EUS-HGS)
膵炎、膵石
急性膵炎は様々な原因で生じる膵臓の炎症ですが、胆管結石が原因の場合には採石やドレナージ術を行います。重症膵炎後には膿の溜まり (膿瘍) が出来ることがあり、それらを取り除く膿瘍ドレナージ、内視鏡的壊死組織除去術 (ネクロセクトミー)を実施しています。
膵石は、慢性膵炎の方に発生する膵管内に生じた石です。膵石のために膵液の流れが悪くなり、腹痛を生じることがあります。そのような場合には膵石の採石や膵管ドレナージ処置を行っています。
図1 胆道鏡下電気水圧衝撃波胆管結石破砕術 (EHL)
胆道系悪性腫瘍
胆管がん、膵がん
胆管や膵臓に生じた腫瘍に対し、様々な方法で精密検査を行っています。超音波内視鏡を用いた腫瘍の診断は年間200-300件行っており、また経口胆道鏡による胆管や膵管内の直接観察も施行しております。
さらに、各種悪性疾患により、胆管が閉塞して胆汁の流れが悪くなることで黄疸を生じることがあります。そのような場合には病状に合わせて各種ステントを選択し留置しております。化学療法前の挿入、あるいは挿入後の閉塞機能不全、入れ替えなどについても対応しています。
Vater乳頭部腫瘍
Vater乳頭部腫瘍の内視鏡的乳頭切除も積極的に施行しており、年間約30例施行しております。膵胆道への進展度を超音波内視鏡 (endoscopic ultra sonography:EUS)にて十分検討し、内視鏡切除、縮小手術、膵頭十二指腸切除術の3段階で適応を判断しております。手術適応症例についての術前検査精査も行っております。また、胆管ラジオ波焼灼術を導入しており、悪性胆道腫瘍や乳頭部腺腫の胆管内遺残に対して治療を行っております。
図1 十二指腸乳頭部腺腫遺残に対する内視鏡的ラジオ波焼灼術
十二指腸乳頭括約筋機能障害
十二指腸乳頭括約筋機能障害 (sphincter of Oddi dysfunaction:SOD) は、胆管・膵管の出口である十二指腸乳頭部の乳頭活躍筋の運動障害により、胆汁や膵液の排出が傷害される病態です。当院ではSODの診断を行うための胆道内圧測定装置 (胆道マノメトリー)を常備しており、ご紹介を頂いています。