内視鏡センター教授 加藤 元彦 Motohiko Kato
Greeting 教授あいさつ
慶應義塾大学内視鏡センターのウェブサイトにお越し頂き、ありがとうございます。
2023年4月1日より、センター長を拝命いたしました、加藤元彦でございます。
内視鏡は文字通り『身体の内部を視る』医療機器で、約150年前に大道芸人の呑剣師が硬い内視鏡を飲み、胃の内部の観察をしたことが近代の内視鏡診療の先駆けです。その後の技術の進歩により内視鏡が診断可能な臓器はより身体の深部である大腸や小腸、さらには胆膵などに広がり、用途も観察や組織採取からポリープ切除、さらには臓器の切除と再建など外科手術に匹敵するような高度なことまで可能になっています。
当センターは年間約20, 000件の内視鏡検査・治療を実施する国内屈指のハイボリュームセンターです。患者の皆様に当センターの3つの特徴につきご説明申し上げます
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超高難度の内視鏡切除を可能にする、たしかな技術で治療しています
第1の特徴は、表在型十二指腸腫瘍に対する内視鏡切除の症例数がきわめて多いことで、年間300例を超える十二指腸内視鏡治療件数(うち100件以上が内視鏡的粘膜下層剥離術:ESD)を誇ります。十二指腸の内視鏡治療は技術的にきわめて困難なことが知られており、登山にたとえるならば、さしずめエベレスト登山といったところです。当センターはこのような最難関の治療を安全に手掛けることができる卓越した治療技術と周術期管理体制を発揮して、文字通り『最後の砦』としての役割を担っています。高い治療技術は他の内視鏡治療の質の高さにもつながり、全国各地のがん診療連携拠点病院および大学病院など、先進施設を含めた多くの施設からの患者様のご紹介を受け入れており、ESDの症例数も約700例と国内有数の症例数です。十二指腸の内視鏡切除で培った高度の切除や創部の縫縮技術を生かして最近では内視鏡的全層切除術(先進医療)のようなさらに新しい治療も行なっております。
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先端治療を含めた幅広い診療領域をカバーします
当センターの第2の強みは幅広い診療領域をカバーしていることです。私の前任の緒方晴彦先生のご専門であった炎症性腸疾患、小腸内視鏡領域では診療水準、症例数とも全国をリードしており、小腸内視鏡検査は年間300例超を実施しております。同様に胆膵内視鏡も約700件の逆行性胆管膵管造影(ERCP)を行うなど症例数は豊富です。
また最近では食道アカラシアに対する内視鏡的食道筋層切開術 (POEM)、内視鏡的逆流防止粘膜切除術(ARMS)、頚部食道憩室に対する軟性内視鏡的憩室隔壁切開術(Z-POEM)など非腫瘍性疾患・機能性疾患に対する内視鏡治療も積極的に行なっており、当センターでは、ほぼすべての内視鏡診断・治療に対応可能です。 -
最新鋭の医療機器と高度のチーム力で質の高い内視鏡医療を提供しています
当センターでは治療は各内視鏡メーカーの最新鋭の機器が常に使用できる環境で行っております。また、2025年中には最高の解像度と拡大機能を有する最新鋭の内視鏡でスクリーニングを含めた全ての検査が実施できる環境を整える予定です。さらに同時に全ての検査室で人工知能(AI)による検査のサポートが受けられる体制を整えるように準備中です。
また、われわれはチーム医療に力を入れており、ESDについては全症例を全員で情報共有し、術前検査、治療、周術期管理から病理結果の確認までチームで行っております。全ての検査を高度の技量を有する内視鏡専門医が監督下に行い、患者様の安全性と検査の質を担保しております。